旧日本陸軍 九〇式鉄帽
旧日本軍の軍装品コレクションとして是非とも入手しておきたい一品である九〇式鉄帽です。
1930年初期に開発採用され、皇紀2590年から下2数字を取り九〇式と名称された日本軍装の代表格ですが、
ちょくちょく見かける民間系鉄帽との違いは上部の通気孔で、左右にそれぞれ2穴ある
合計4穴あるのが特徴です。また陸軍の場合は、正面部に平面な星章が付いてます。
同時代の他国の軍用ヘルメットとの一番の相違点は、やはり顎紐になります。
他国はチンストラップ型なのですが、日本軍の場合は長い紐のみで兜結びとするという
おそらく当時でも前時代的な様式でした(苦笑)なぜこうなったのか不明です。
名称も初めは九〇式鉄兜だったのですが、(それも兜結びを採用した理由か?w)
わずか2年で鉄帽に変更されたのだとか・・・。
肝心の性能ですが、先に前時代的なと記載しましたが、当時としてはクオリティーが高く、
相当な強度と硬度を誇るクローム・モリブデン鋼を材質とし、また被弾形状も優秀であり、
登場当時の各国軍の軍用ヘルメットと比較して、かなり優れたものだったそうです。
また、正面に平面の金属板加工の星章が目立つ形で付いていますが、
これはおそらく同時代のフランス軍のM15アドリアンヘルメットの影響があるかもしれません。
どうも日本陸軍が、初期に採用した軍用ヘルメットというのが、
フランス軍が第1次世界大戦において装備したアドリアンヘルメットのコピー品だったようで、
このヘルメットの一番の特徴が正面に帽章が付くことなのです。
同時代では九〇式鉄帽以外にも帽章が付くものは、私が知る限りでは、
スウェーデン軍のM21やスペイン軍のM34やM42ぐらいです。
(先に登場したエイドリアンヘルメットは各国で採用されて幅広く装備されたようですが・・
これももちろん他国でも帽章付きで製造されています。)
紹介品の外観は、九〇式鉄帽の特徴的な濃い辛子色のような塗装が薄れてしまい、
星章側にひっかき傷があります。まあ、それでも程度は良い部類に入ると思われます。
九〇式鉄帽の内装は皮革製となっており、裏側はクッション式となっています。
紹介品は、これらが状態良く残っていますが、顎紐に関しては、切れがないものの、
一部分、中間あたりまでに裂けほつれがあるのが残念ですね。
頭囲サイズは、鉄帽内側に白字で記載されていることが多く、
紹介品は大と目立つ形であります。
実際にこれを着用する際は、もちろん頭に直に被ることもあったのですが、
略帽の上から装着して任務にあたるのが一般的であったようです。